ドルコスト平均法は有利なの?不利なの?
この状況に対して、経済評論家の山崎元さんは「ドルコスト平均法は有利でも不利でもない投資法」とした上、「有利でないものを有利であると過大評価すると弊害の可能性を見落とすことがある」として、「機会損失の発生」「支払い手数料の増加」「ひとつの対象に対する集中投資によるリスクの増加」を弊害として挙げています。
先日のVanguardのリリースを拾うついでにVanguardのアドバイザー向けのサイトを見ていたら、ドルコスト平均法についてのスタディをまとめた論文が掲載されていました。
Dollar-Cost Averaging just means taking risk later (Vanguard.com)
このスタディでは、米国、英国及び豪州の過去のデータを用い、100万通貨単位(ドル、ポンド、豪ドル)を、一括投資し10年間毎月リバランスを行いながら保有た場合と、6,12,18,24及び32ヶ月間に分けてドルコスト平均法で積立て、その後積立開始から10年間の期間毎月リバランスを行いながら保有した場合を比較しています。
詳細は元論文を参照していただきたいと思いますが、要点をまとめると、
・どの市場のデータを用いた場合も、全期間のうち3分の2の期間で一括投資群がドルコスト平均法群よりもリターンが高かった。
・リターンの差は平均して2.3%(年率0.227%)であった。
・幾つかのポートフォリオでシャープ・レシオが計算されているが、いずれのポートフォリオでも一括投資のほうがシャープ・レシオが高い。(つまり少ないリスクで高いリターンが得られている)
・米国市場を使った12ヶ月の投資期間の比較で、ポートフォリオが毀損したのは全1,021サンプル中、一括投資群が全体の22.4%、ドルコスト平均法群は17.6%。
・毀損額の平均は一括投資群で84,001ドル、ドルコスト平均法群で56,947ドル。
ということです。
もちろんこれは過去のデータを用いた研究で、将来も同様の結果になる保証はどこにもありませんが、過去のデータを見る限り、ドルコスト平均法を採用すると3分の2の確率で機会損失をする可能性がある。しかし、運悪く下落相場に当ってしまうと、一括投資の場合の損失はドルコスト平均法に比べて1.5倍程度大きくなる可能性ある、ということでしょうか。
毀損額の84,001ドルに対して56,947ドルをどう見るか。投資額は1,000,000ドルなので、率にすると8.4%に対して5.7%。
ドライに確率論で納得でき、また、今後もざっくり右肩上がりの相場を予想できるのなら、年率換算で0.227%ではありますが、有利であった一括投資。ダウンサイドのリスクを強く感じてしまう方には相場下落時の損失額を小さくできるドルコスト平均法が良いということですかね。
結局のところ、ドルコスト平均法は有利でも不利でもない方法というところに落ち着きそうではあります。
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